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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Aizubange Town 4-1
 『ゴジてれChu!』木曜恒例「ぶらカメ」のコーナー、今回は会津坂下町(あいづばんげまち)です。

1巡目(2022年9月)のエピソードは、こちらをクリック。
2巡目(2023年3月)のエピソードは、こちらをクリック。
3巡目(2023年9月)のエピソードは、こちらをクリック。

 今年も下帯姿の男性などが重さ5トンの大俵(おおだわら)を綱引きのように引きあう「坂下初市 奇祭大俵引き」が行われ、西が勝ち「豊作になる」との結果が。今回のロケも、実り多き出会いがありますように…。
役場前に展示されている大俵。
役場前に展示されている大俵。
高さ2m、長さ4.5m、重さ5tにもなる。
高さ2m、長さ4.5m、重さ5tにもなる。
 町中をぶらぶらしていると、「角田工房」という看板を見つけます。どんな芸術作品を作っているのだろうとよ~く見ると、「手打ち生そば」とあります。ただ工房からは返事なし。もう打ち始めているのかと思って、念のため家を訪ねると角田さんがお出になり、
工房を発見。何かのアトリエか?
工房を発見。何かのアトリエか?
手打ちそばを作っている所だった。
手打ちそばを作っている所だった。
「これから打ちますよ。こちらのそばは店に卸していますし、お客さんが買いに来る事もあります。」
 これはラッキー♪
 因みに会津坂下町は馬刺しやそばが有名ですが、どちらも外に食べに行くより、買って帰って自宅で食べる人が多い地域なんです。
角田さんがたまたまそばを打つ直前に出会えた。
角田さんがたまたまそばを打つ直前に出会えた。
大俵引き用の俵を作る方でもあった(後列左から2人目)。
大俵引き用の俵を作る方でもあった(後列左から2人目)。
 取材のOKを頂いたところで、テレビ取材は受けた事があるのでしょうか?
「私は大俵引きの大俵作りをしている一人なので、そちらでは取材を受けています。」
 何と、会津坂下町の伝統行事の一つにも関わっていたのですね。
「角田工房」は2017年にオープン。
「角田工房」は2017年にオープン。
この日は2㎏分のそばを打つ。
この日は2㎏分のそばを打つ。
 通常は1㎏を1時間で打てれば御の字だそうですが、角田さんは
「3.5㎏までなら、この鉢で1時間で打てます。」
 角田工房で使うそば粉は全て会津産。実の中心部50%だけを製粉した更科そばです。
「きょうは注文を受けた2㎏を打ちます。」
使うそば粉は会津産に拘る。
使うそば粉は会津産に拘る。
そばの実の中心の「芯粉」だけを使う十割そばだ。
そばの実の中心の「芯粉」だけを使う十割そばだ。
 会津坂下のそばは、基本的につなぎ無しの十割そばです。
 そば粉を鉢に入れると、そば粉が舞って蕎麦の良い香りが工房に広がります。
 まずは100度の熱湯を入れます。
「熱湯を入れたのに、それを粉に戻すような作業をします。いわば“お湯をまとった粉”が出来る、これが(粉が)繋がる一つ一つの粒になります。」
 飽くまで100度。90度だと、繋がる粒にならないのだそうです。
湯を投入。「量に正解は無く、そばを見ながらの判断です」
湯を投入。「量に正解は無く、そばを見ながらの判断です」
混ぜる作業。「これを早くやる事で『美味い』に直結」する。
混ぜる作業。「これを早くやる事で『美味い』に直結」する。
 少し寝かせたら、今度は水を入れます。お湯ではなく、水の理由は?
「お湯で繋がる“元”を作って、またお湯を足しても美味しくない。水だけだと繋がる“元”が少なすぎる。熱湯で作った“元”の力を借りて、水で仕上げるのがここら辺のやり方です。」
湯をまとった粉に、水を1か所に投入。
湯をまとった粉に、水を1か所に投入。
水を足した所を混ぜていくと、段々大きな団子が出来てくる。
水を足した所を混ぜていくと、段々大きな団子が出来てくる。
 水を足して出来た団子をこねながら、まだ水の行き渡っていない“お湯をまとった粉”を団子に吸収させていきます。
水分の多い団子をこねて…
水分の多い団子をこねて…
周りの粉を巻き込んで団子を大きくしていく。
周りの粉を巻き込んで団子を大きくしていく。
 更にこねながら、団子を2つにします。
「2つに分けるのは、伸して畳んだ生地を二段に重ねて切るからです。」
“湯をまとった粉”が水分をまとい…
“湯をまとった粉”が水分をまとい…
後で伸しやすいように2つに分ける。
後で伸しやすいように2つに分ける。
 それをのし台で更にこねていくと、
団子は鉢からのし台へ。
団子は鉢からのし台へ。
こねる作業が続く。
こねる作業が続く。
あら不思議! 綺麗な円錐状(通称「菊練り」)になります。底の部分はへそのような窪みも。
「裏にも皺が一つもない状態です。こうしないと、伸ばす時に割れるので。」
徐々に角が出来て「菊練り」になる。
徐々に角が出来て「菊練り」になる。
底の部分も皺が無い状態に。
底の部分も皺が無い状態に。
 続いて菊練りを、麺棒で伸していきます。よく見ていると、麺棒に生地が一瞬吸い付き、離れ、を繰り返して平たくなっていきます。
菊練りを容赦なく麺棒で伸ばす。
菊練りを容赦なく麺棒で伸ばす。
みるみる円形に伸されていく。
みるみる円形に伸されていく。
 一連の手順を最初に研究したのは、角田さんの祖父だそう。
「昔は米が獲れなくて、かわりに蕎麦を食べていた歴史があります。祖父は、石も交じったような黒い蕎麦を食いたくない、白いそばを食べたいと。でも白いそば粉(更科)にすると繋がらないから、どうしたら良いか祖父が製粉から考えた。それを父も知っている。その2代の経験の凝縮した形が、私たちの代。楽をさせてもらっています。」
時には麺棒に巻き付け…
時には麺棒に巻き付け…
会津坂下では円形に。「四角は殆どいないです。」
会津坂下では円形に。「四角は殆どいないです。」
 因みに麺棒を使い込むと、両端が彫刻刀で彫ったように削れていきます。
「麺棒は軽くて丈夫な桐で出来ているんですが、手の摩擦で木目が出て来るんです。摩擦をしないようにしていても、毎日何年も使っているとこうなるよ、というなれの果て。ここが生地に直接触れるまでに広がると、生地に(模様が)移っちゃうからそこまで。」
麺棒の両端に注目。
麺棒の両端に注目。
手の摩擦で木目が浮き出ている。
手の摩擦で木目が浮き出ている。
 同じ工程をもう一段階繰り返し、畳んで重ねれば、最後の切る段階へ。角田さんはこま板をずらしながら、特注のそば切り包丁で均一にリズミカルに切っていきます。
伸した生地を重ねて…
伸した生地を重ねて…
角田さん曰く「切るのが一番易しい作業なんです。」
角田さん曰く「切るのが一番易しい作業なんです。」
 あとはグラム単位で量って分ければ、完成です。
「うちは体験もやっています。初めての方には、茹で方まで教えます。」
 中には何度も通って“修行”する方もいて、77歳からそば打ちを始めた女性や、100回位通って小学生の孫に食べさせるのが楽しみという人もいるのだとか。
重さを量って1本単位で調整。
重さを量って1本単位で調整。
5食入り2000円(箱代・送料別)。
5食入り2000円(箱代・送料別)。
 ただご自身も現在が“完成形”とは思っていないようで、
「50年以上そばを打っている父が2年前に引退すると言って、やっと親に近づけるタイミングが出来た。父の50年は“継続は力の塊”で私の上の上を行っているので、私はまだまだ。51年目くらいから『父と同じ位まで来たな』と思うのでしょう。」
「そば打ちの全部にゴールは無い」と話す。
「そば打ちの全部にゴールは無い」と話す。
「10年やらないと、後ろに漸く道が出来たと分からない。」
「10年やらないと、後ろに漸く道が出来たと分からない。」
 角田工房のそばは、お取り寄せが出来ます。またそば打ち体験も可能で、700g(4~5人分)のそばを2時間あまりで作ります(4000円。要事前予約)。詳しくは電話で

070-1148-4129

まで問い合わせてください。(つづく)
「3年位でそば打ちを辞めちゃうのは勿体ないと思う。」
「3年位でそば打ちを辞めちゃうのは勿体ないと思う。」
そば打ちの奥は深い。
そば打ちの奥は深い。
 因みに地元のお勧め和菓子を尋ねると、
「最近は店を閉める所も多くて…でも、『こいしまんじゅう』は味噌の味がして美味いんです。」
 更に町をぶらぶらしていると、自宅に郵便ポスト?

その2「お手製ポストのある一軒家 & 開店10周年、でも創業97年の和菓子店」は、こちらをクリック。
お勧め和菓子は「こいしまんじゅう」。小石のような形なのか?
お勧め和菓子は「こいしまんじゅう」。小石のような形なのか?
自宅の敷地内に、昔ながらのポストが⁉
自宅の敷地内に、昔ながらのポストが⁉
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